Q&A
Q1 弁護士資格を持つ実務家教員は顧問料の収入を申告するのか?
→ 金額については、同一組織から年間の合計収入が100万円を超えるなら申告してください。自己申告要領第3条1項第1号。団体名、活動内容、活動時間(時間/月)については、その団体の「経営に関与」していれば、たとえば、「顧問」に就任するなどしていれば、団体ごとに申告してください。同第2号及び自己申告書。
Q2 法曹界での実例はあるのか?
→ ハーバード大学ロースクールで、Dean(学長や学科長と訳されることもあります)の許可がなければ、教員は、学期中(during the academic year)は、他の教育機関のために教育を行ってはならないという利益相反規程があるようです。この中でハーバードのA教授が、Concord Law Schoolという他のロースクールに、自らの講義を録画して提供した等の理由で、利益相反規程に違反したのではないか、と新聞記事になったことがあるようです。
Q3 教員の子の勤める会社についても書くのか?
→ 会社員として雇用され、勤務しているだけなら、不要です。但し、教員本人に産学連携活動等がある場合に、教員の子が「役員、顧問、相談役等」に「就任」していたり、「企業、団体の経営」に「関与」していれば、申告してください。自己申告実施要領第3条第1項第2号。
Q4 同一組織からの年間の合計収入が100万円を超えなくても申告するのか?
→ その場合、内容の申告は不要ですが、申告書の収入欄に、(100万円を超える収入は無いという意味で)「無」にチェックし、申告書を提出していただけると良いかと思います。そうしていただければ、単なる申告書未提出とも区別できます。
Q5 申告時点で研究の予定(計画)をしている場合も申告が必要なのか?
→ 研究の「予定」があれば、申告してください。自己申告実施要領第4条2項。
Q6 企業相手の場合だけ申告するのか(例えば、受託研究で国や県等の公共団体が相手の場合がある)?
→ 企業だけに限りません。公共団体からの収入等も申告対象です。自己申告実施要領第3条第1項「企業・団体からの収入」など。
Q7 臨床研究をしていない場合は、利益相反マネジメントは関係ないのでは?
→ 臨床研究でなくとも、利益相反は発生し得ます。利益相反マネジメントは、臨床研究の際の人命尊重のみを目的とするのではなく、その目的はもっと広く、(バイアスを可能な限り排除することによって)研究の真実性を担保することです。
Q8 職員の利益相反について、もし問題になった場合、大学側が責任を持つというのか?大学側がリスクを背負うというのか?具体的な対応方法が不明確。
→ 職員の利益相反について、マスコミ等から大学に問い合わせがきて、大学が職員の産学連携活動等に関する十分な情報を持っていないと、説明ができなくり、騒ぎが大きくなります。利益相
反自己申告書を提出することによって、大学にあらかじめ情報を提供しておいていただければ、大学がマスコミ等の対応をいたします。必要に応じて、記者会見を開き説明いたします。逆に自己申告書を提出しなかった場合や、虚偽の申告をした場合には大学は対外的に利益相反の説明責任を果たすことはできず、職員が個人で対応しないといけなくなります。
Q9 全職員が対象なのか?
→ 常勤の役員及び職員が対象です。平成23年度から、第一四半期に実施する定期申告においては、常勤の役職員のうち、役員並びに教員(附属学校教員は除く)、技術職員及び教務職員が対象となります。事務職員、看護職員及び附属学校教員(以下、「事務職員等」という)については、これまでの自己申告において産学連携活動者が皆無であったため、対象から外しました。(あくまでも、定期申告に関してのみです。事務職員等であっても、本学における利益相反の審査対象であることに変わりはありませんので、産学連携活動等の状況が発生すれば、年間通して随時、自己申告し審査を受ける必要があります。)
非常勤職員は対象外です。ただし、非常勤研究員、特命教員及び特命研究員等非常勤の研究者は対象となります。 ※自己申告実施要領第2条第1項、第4条第3項参照
Q10 自己申告実施要項第3条に記載されている企業とは公企業も含むのか?
→ 含みます。
Q11 同条に記載されている団体とはNPO法人も含むのか?
→ 含みます。
Q12 我々が関わりそうなのは200万円を超える共同研究、受託研究が対象になると理解していいのか?
→ 該当しますが、それ以外に寄附金や兼業等も対象となります。自己申告実施要領第3条に対象及び基準を記載しています。
Q13 提出時は個人情報なのでしっかり管理して欲しいのだが・・・。
→ 「親展」(赤字で印刷)「利益相反マネジメント委員会委員長殿」と印刷した封筒で厳封の上提出していただき、取りまとめ担当の各部局の総務課担当職員は見ることができないようにしています。地域連携推進課地域連携推進係の少人数の職員のみ開封することができるようにしていて、作業時以外は、地域連携推進課内の鍵付き倉庫に保管して、鍵をかけています。将来的には、利益相反マネジメントを電磁化して、パスワードを持っている職員しか個人情報にはアクセスできないようにする予定です。収集した個人情報は、法令上要求されて拒否できない場合を除き、外部には漏らさず、かつ利益相反マネジメント以外の目的には使用いたしません。さらに、5年間の保管期間(規程第28条等)経過後は廃棄します。情報の開示請求を受けた場合は、まず、情報の開示を回避できるよう請求者に対して、利益相反マネジメント担当者が説得・交渉を行い、それでも請求者が開示を要求する場合は、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」に従って、対応します。
Q14 寄附金については、「講座」単位で入ってくるので、教員の個人的所得にならないが、それも報告するのか?
→ 申告します。講座への寄附の場合、教授が寄附金受け入れ及び予算管理上の代表者となっているので、教授が申告してください。
Q15 (1)医療法人や社団法人も実施要領第3条の「団体」に含まれるのか?(2)これらの「団体」からの寄附金も申告対象か?(3)これらの「団体」から受け取る診療報酬はどうか?
→ (1)含まれます。(2)対象です。(3)診療報酬は、申告対象ではありません。実施要領第3条第1項第1号参照。
Q16 某大学のケース(※)では、平均して年200万円を超える奨学寄付金をもらっていないのに、研究者は社会的制裁を受けてしまったではないか。※2001年度から6年間で合計1000万円の奨学寄付金をもらっていた某大学の教授らが厚生労働省のタミフル研究班から除外された事件。2007年3月23日
→ 同一外部組織から「年間200万円を超える」受け入れということを金額の基準にしていますが、これはこの金額以内であれば社会的制裁を受けないことを保証するものではありません。琉球大学では、文部科学省の「21世紀型産学官連携手法の構築にかかるモデルプログラム」及び徳島大学が作成した「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」を参考に、同一外部組織から年200万円以上と設定しております。
Q17 兼業も寄附金もすでに教授会で報告し、大学は情報をすでに持っているではないか(なぜ同じ事をまた申告しないといけないのか)。
→ まず、兼業に関して、診療活動と診療報酬については、利益相反マネジメントでは、申告義務はありません。自己申告要領第3条第1項第1号。寄付金については、大学で受け入れた分については、確かに大学で情報を持っているのですが、利益相反マネジメントでは、まだ大学で受け入れを決定していない寄付金の予定の情報も必要です。また、利益相反マネジメントでは、兼業と寄附金以外にも産学連携活動の相手先との関連を広い範囲で問うています。さらに、対象に申告者自身とその配偶者並びに父母及び子についても同様の情報提供を問うています。ですので、兼業や寄付金に関してすでに大学に情報提供をしていても、利益相反マネジメントで必要な情報としては十分でないのです。
Q18 自己申告書の提出について、アンケートといえどもしつこく催促された。共同研究、受託研究及び兼業については大学へ届出ているにもかかわらず、再度、同じ内容を記入し提出するのは腑に落ちない。もう少し系統的にどこかで一元的に管理できないものか。規程の金額を超える者だけが申告するということから始めても良いのではないか?記入だけにも時間と労力を費やしている。
→ 利益相反状態の有無の判定のための申請と単なる事務的な申請とは違います。大学としてきちんとマネジメントするためには手間を省くものではないと思いますのでご理解願います。
Q19 申告内容を精査し、全教職員提出ということではなく、あくまでも自己の状況を自己判断で提出させてみてはどうか?
→ 大阪大学では関連した企業の未公開株式の件で問題となり、新聞に取り上げられました。大学側の把握が遅く何の情報もないまま大学側の管理を指摘された実例です。このことから、大学としてマネジメントの基準を設定し全教職員を対象として実施する体制を構築しました。
→ 利益相反に関しては、マネジメントとして大学側が一括管理しておくことが必要です。確かに自己申告していただくことは手間がかかりますが、そこが重要なポイントであって、単なる書類のやりとりではなく自己申告することが重要です。また、自己申告することにより大学が把握していない状況がわかることもあり、より広くマネジメントができます。大学が全教職員を対象としてマネジメントをしているということの事実が重要なのです。
Q20 全教職員を対象にして自己申告をしなければならないのであるならば、規程を改正すべきなのではないのか?今の規程では、利益相反状況を自己申告するとなっており、ある金額に該当しない者は申告しなくて良いと解釈してしまう。
→ 対象者の範囲については、平成23年度に変更がございましたので、Q9をご参照ください。定期申告の対象者は、産学連携活動等の有無にかかわらず、その旨を申告する必要があります。その場合は、「NO」にチェックするだけの簡単な記載ですので、未提出者と区別するためにも、必ず提出してください。ただし、活動内容(金額等)については、一定の基準(自己申告実施要領第3条)に該当する場合のみ申告していただいております。